きものを愉しむ

2023/04/11

巡る季節の中で夏の準備を~浴衣入門編~

人通りも増え賑わいをみせる四条河原町です。皆様いかがお過ごしでしょうか。

いつもご覧いただき誠にありがとうございます。
本店・営業の久保田でございます。

今年は早くも浴衣をお探しになられている方が多いように思います。
お待たせいたしました。浴衣が店頭に並びました。

浴衣はお着物よりも必要な小物が少ないので着付けもしやすく、ものによってはご自身でお洗濯できるのでお手入れもしやすいです。
お着物に興味はあるけれどハードルの高さを感じていらっしゃる方、まずは浴衣をお仕立てされてみてはいかがでしょうか。

浴衣、と一口に言っても種類も色柄も様々ございます。
今回は入門編、として初心者さんへ向けて浴衣の種類を一通りさらっとご紹介させていただきます。
新年度で皆様せわしなくされている時期かと存じますが、息抜き程度にお目通しくださると幸いです。

 

~浴衣の種類 その1~

ゑり善では主に東京・日本橋の竺仙さんの浴衣をお取り扱いしております。
竺仙さんの浴衣は古典文様に伝統的な白紺のシンプルなものが多く、昔ながらの浴衣を愉しむことができます。
また、江戸好みの粋な品々を取り揃えております。

 

〈綿コーマ〉

コーマという種類の糸で織った、一番オーソドックスな生地になります。
白地は昼に涼しく見えるような明るさがあり、紺地は落ち着いた妖艶さがあります。
昔は、昼は白・夜は紺といったイメージがあったようですが今は時間の制限はございませんのでお好きな地の色をお選びください。納戸色と呼ばれる薄藍の地の色や少しモダンな色物もございます。

〈綿絽(めんろ)〉

夏のお着物にも使われるのが絽(ろ)や紗(しゃ)の生地。
「絽」とは横に線が入ったように見える透け感のある素材です。
この透け感のある横線が一定の幅で規則正しく入ったものもあれば、狭くなったり広くなったり、ランダムに組み合わせた乱絽(らんろ)と呼ばれるものもございます。
竺仙さんの綿絽の浴衣は乱絽で豊かな表情が特徴です。

〈絞り(産地:有松)〉

生地を括ってその部分に色が染まらないようにし、柄付けをしていく絞りの技法。
お仕立ての際巾を出すのに、お写真よりも生地は伸びますが、この立体感は絞りならでは。
可愛い浴衣が欲しい!という方に特におすすめです。

〈男性用浴衣〉

広巾の男性用浴衣もございます。女性用と同じく白紺のものもあれば色物もございます。
お写真一番上は「鎌」と「輪(わ)」と「ぬ」で「かまわぬ」と読める歌舞伎好みの文様。
お柄も男性らしいかっこよさや遊び心のあるものも多いです。

〈お子様用浴衣〉

お子様用浴衣は色を使って可愛らしく。紐をつけた、お召しになりやすいお仕立てになります。
肩揚げや腰揚げもできるので、ご成長に合わせて長さを出してお使いいただけます。

浴衣の良さはなんといっても気軽にお召しになれること。
浴衣スリップ等の上にお召しになり、足元は素足に下駄でお出かけできます。
しかしそれだけではなく、お着物と同じように長襦袢に足袋をはいてお召しになれる浴衣もございます。続いてはこちらをご紹介いたします。

 

~着物の種類 その2~

〈綿紅梅・絹紅梅〉

綿の生地に太い綿の糸で格子を織り出した綿紅梅(写真左2反)と、絹の生地に綿の糸で格子を織り出した絹紅梅(写真右2反)がございます。
透け感が大きく涼しげな雰囲気に、さらに絹紅梅は軽さがあります。
「紅梅」とはこの格子状を表す「勾配」からきているのだとか。

〈奥州小紋・松煙染小紋・長板中形〉

紬のような風合いが特徴の奥州小紋(写真中央)に松をいぶして得た染料から染める松煙染小紋(写真左)。
それぞれの、茶系やグレー系の落ち着いた色味の渋さが粋です。
長板中形(写真右)は両面染めの浴衣です。
表と裏別々に糊置きをしているにもかかわらず両面の柄がぴったりと合ったものは職人さんの技術の賜物です。

これらの浴衣をお着物と同じようにお召しになり、ちょっとしたお食事に行かれてはいかがでしょうか。

 

~帯について~

浴衣には四寸帯(半巾帯)を締めます(写真外側)。
こちらの帯もお着物に合わせる八寸や九寸の帯と比べて簡単に結べます。
絹紅梅などを長襦袢と合わせてお召しになる場合は、八寸の袋なごや帯を締めます(写真中央)。
「紗」と呼ばれる、メッシュのように織られている帯もあれば、涼しげな素材、麻を使って織られた帯もございます。

男性はお着物と同じく角帯(写真上)を締め、お子様は兵児帯(写真下)で柔らかく、可愛らしく帯を締めます。

 

浴衣の説明やコーディネートのご紹介は商品紹介のページでもさせていただいておりますので
合わせてご参照くださいませ。

ゑり善では浴衣も反物から、お客様の寸法に合わせてお仕立てさせていただきます。
お仕立てには1~2か月ほどお時間をいただきますので浴衣をお探しの方はお早めにお求めくださいませ。

今年は葵祭も開催が決定し、京都の三大祭りが復活いたします。
夏のお祭り、祇園祭には浴衣でお出かけなさってみてはいかがでしょうか。

本店営業・久保田真帆

京都・銀座・名古屋にて呉服の専門店として商いをする「京ごふくゑり善」の代表取締役社長として働く「亀井彬」です。
日本が世界に誇るべき文化である着物の奥深い世界を少しでも多くの方にお伝えできればと思い、日々の仕事を通して感じることを綴っていきます。