きものを愉しむ

2022/04/16

きものは暑い??初夏にぴったりの単衣(ひとえ)のご提案

いつも誠にありがとうございます。ゑり善の亀井彬です。

京都の街では、ほぼ桜も見頃を過ぎ、季節は初夏に向かっております。
藤の花も少しずつ開き始めており、過ごしやすい気候になってまいりました。
ゴールデンウィークなどもあり、お出掛けの際にお着物でというお客様も多い季節です。



<きものならではの着心地>

呉服の商いをしておりますと、「きものって暑いでしょ?」とよく聞かれることがございます。
確かに夏は暑いですが、それは洋服を着ていても同じ…

むしろ、襟元や袖口から心地よい風が通りぬけて、気持ちよく感じることも多いです。
絹の特徴の1つとして、「吸湿性・放湿性に優れている」点があります。
暑さはもちろん、日本特有のじめじめとした季節にこそ、
お着物は極上の着心地を与えてくれるものだと実感しております。

また、冷房の効いた室内では、素肌に風があたると身体が冷えてしまうことが多いのですが、
着物を羽織っていると、一枚布をまといますので、そのような心配もありません。
思いがけない効果でしたが、私もきものを着るようになってから
夏風邪をひきにくくなったようにも感じております。

<きものの3つの季節>
お着物には大きく分けると3つの季節があり、
その違いをご理解いただいておくと、より涼しく爽やかにお召しいただく事ができます。

・裏地をつけた袷(あわせ)
・裏地をつけずに仕立てる単衣(ひとえ)
・透け感のある夏物(なつもの)

それぞれの着用時期やコーディネートについては、
「きものを知る・学ぶ」というページでご紹介致しております。
ゑり善がオススメする季節のコーディネートの早見表となっておりますので、こちらを是非ご参考にしてみてください。
→ きものを知る・学ぶ_季節

こちらの早見表を見ると4月・5月は袷のお着物が一般的であるといえます。
単衣は6月からというのが、フォーマルなシーンではやはりおすすめです。

<基本を知った上で、おしゃれ着であれば自由に>
とはいえ、近年の気候の変化や地域差もございます。
いわゆる「おしゃれ着」としてのお着物、
何気ないお出掛けや、気を使わないお仲間とのお出掛けについては、このコーディネートが全てではございません。
気温に応じてお着物の選択をしていただくのがよいです。

<4月・5月でも単衣を着てもよいのか? その際の注意点>
特に最近では、4月でも最高気温が25度をこえるような日も多くなってまいりますので、
無理をせずに、気候を鑑みて単衣の着物を選ぶこともよいですとお伝えしております。
(私も4月7日午後にだけ用事がありましたので、その際は単衣の着物を着用致しました)

ただしその場合の【注意点】としては、
ご一緒する周りのお方のお着物との調和を取ること。

周りのお方がどのようなお着物をお召しになるのか、事前にご確認されれば間違いがございません。
また、周りの方が袷のお着物をお召しになっていることを考えて、透け感のない涼感のある袷帯をされることがおすすめです。

単衣の着物は、夏物のようには、透けないことが特徴。
袷のお着物の方とご一緒でもあまり目立たないので、4月・5月など少し早めからの着用でも安心です。

<単衣のきものに適した生地とは?>
単衣とは、透け感のない生地に、裏地を付けずに仕立てたきもののことを言います。
袷用に作られた生地を単衣にお仕立てすることでも仕立てられますが、
できれば着心地よく、着姿も美しくにお召しいただくには、単衣に適したお生地を探されることがオススメです。
その際には次のようなことを、お考えになるとよいでしょう。

・見た目の清涼感
  夏の日差しの中で美しく涼やかにうつる地色や配色であるかどうか

・着心地を生む生地質
  裏地をつけないお仕立てになるため、
  一枚でもふわふわ浮かず、適度な厚みと重さがあり、キレイにおめしいただける生地かどうか

・その時ならではの柄
  その季節にぴったりの柄であるかどうか。

単衣のお着物があれば、これからの季節のお着物での愉しみがぐっと広がります。
4月に入り京都本店・銀座店・名古屋店、ともに単衣のお着物が揃ってまいりました。

この時期は着用シーン、着用時期、コーディネート等、どうしてもわからない点が多くなりがち。
どうかお気軽に何なりとご相談くださいませ。

皆様のお着物での愉しみが、より広がりますように・・・

ゑり善 亀井彬

京都・銀座・名古屋にて呉服の専門店として商いをする「京ごふくゑり善」の代表取締役社長として働く「亀井彬」です。
日本が世界に誇るべき文化である着物の奥深い世界を少しでも多くの方にお伝えできればと思い、日々の仕事を通して感じることを綴っていきます。