きものを愉しむ

2024/07/31

七五三のおもいで

身も焼かれそうなほど日差しの強い日が続いておりますが、皆様おかわりなくお過ごしでしょうか。
いつもご覧いただき誠にありがとうございます。
本店・営業の久保田でございます。

夏休みシーズンに入りました。公園などを通ると、お子様たちが元気に遊んでおります。
本店では店頭に七五三のお品物が並び始めました。
七五三の時期は11月ですが、お仕立ての期間もありますので9月頃までにお探しになる方が多くいらっしゃいます。
お子様が夏休みの間にお着物探しというのもいかがでしょうか。

お宮参りに始まり、七五三や成人式…日本人が大切にしてきた行事ごと。それぞれ由来があり願いが込められています。歴史までは知らずとも、そういった行事をすることで身の引き締まるような、喜ばしいような気持ちになることはあるのではないでしょうか。
七五三について、揃えるものなどは以前のブログにてご紹介させていただきましたので、今回はそういった「思い」のほうに焦点を当ててみたいと思います。

 

~七五三の思い出 子ども編~

私自身の七五三の思い出はというと、写真館でメイクをしてもらったことはどことなく覚えていますが、お着物を着た記憶がございません。写真には残っているので無事に着付けはしてもらえたようです。
20代社員に話を聞くと、同じように自身の七五三の様子は断片的にしか覚えていない人がほとんどでした。
実際に行事をするお子様方にとってはどうしても記憶もおぼろげなものになってしまうのかもしれませんね。
それでも写真などの記録には残りますし、親御さんにとってはお子様の成長を祝う行事、すくすくと育ってくれていることに喜びを感じることでしょう。

お子様自身が覚えていなくても、成長してから自分の七五三のときの様子を聞いてきて、思い出話に花が咲く、なんてこともあるかもしれません。

私自身も呉服屋に就職してあらためて自分の子供のころの行事の写真を見返しました。
七五三の写真は祖母の部屋に飾られていたので何度も目には入っていたはずですが、あらためて見ると、仕事柄もありますが、どんな着物を着ていたのかなど着眼点も変わりました。

 

~七五三の思い出 親編~

七五三をした本人にとっては曖昧な記憶でも、親御さんにとっては忘れられない記憶かもしれません。
お子様やお孫さんの七五三をされた先輩方にその時の様子をうかがうと、「かわいくてしょうがなかった」といいながら写真を見せてくださった方、着物を着たことでお子様の顔つきまで変わったと成長を感じた方、様々でした。
自らお孫さんに袴を着せた、なんてエピソードは呉服屋ならではでしょうか。

親御さんにとって心配なのは無事にお着物を着てくれるかどうか、だったりするのかもしれませんね。普段着慣れないお着物に恐怖心のようなものが芽生えて着るのを嫌がる子、逆に珍しいからこそ興味津々で変身を楽しむ子、様々だと思います。
それでも、どんなお子様の姿も愛らしくうつるものなのでしょう。
身内の行事ですので、お子様の様子に合わせて七五三の行事をお楽しみいただけたら良いのではないかと思います。

 

~七五三の思い出 呉服屋編~

最後に呉服屋ならではの七五三のお話をしましょう。
実はお子様用のお着物はただお仕立てするだけでなく、仕立替えを視野に入れることができます。
一番多いのは、初着を仕立替えて三つ詣りのお着物にすること。
初着は一定の寸法ですが三歳さんの寸法に合わせてお仕立て直しをします。
ただ、初着は一ツ身と言って背縫いのないお着物になります。
三つ詣り用のお着物とは仕立てが異なりますので、あくまで代用品ということはお伝えさせていただきます。

男の子も同様に、初着を五つ詣り用のお着物に仕立て替えることが可能でございます。ただ、お子様の成長具合によっては初着の長さでは足りない可能性がありますのでそちらはご了承くださいませ。

他にも、お着物を三つ詣りと七つ詣りどちらにもお召しいただけるようにお仕立てさせていただいたり、小柄なお子様が七つ詣りと十三参りを同じお着物でできるようにお仕立てさせていただいたりしたケースもございました。
どちらもお子様の成長を見越して、後々長さを出せるようにするための揚げを多めに取ります。そのときにもたもたしないように工夫してくださるのは仕立屋さんの為せる業です。
三つ詣りのときはお着物の上に被布を羽織り、七つ詣りのときは帯を締めます。七つ詣りのときにはお子様用の帯をするところ十三参りのときには大人と同じ袋帯になります。そういった違いがありますので、同じお着物でもコーディネートの変化をお楽しみいただけます。
ただ、こちらもお子様の成長度合いによっては長さが足りなくなってしまう可能性があります。
そのことをお伝えしたうえで、多めに揚げをとるお仕立てをさせていただきます。

 

お子様のご成長は著しいのでどうしても一度お召しになったらそれきりになってしまうお着物もございます。
呉服屋としては正式に、お子様の成長祝いとしてその時々にお着物をお仕立てすることもおすすめはいたしますが、お客様のご希望に合わせて、仕立替えなども含めた一番良い形でのご提案ができましたらと思っております。

徐々に七五三のお品物そろってまいりますので、ぜひ一度当店にて涼みがてらご覧くださいませ。

本店営業・久保田真帆