季節の行事ときもの

2025/01/09

いつも「きものを愉しむ」を読んでくださっている皆様へ

新年あけましておめでとうございます。京ごふくゑり善の亀井彬でございます。

例年に比べると比較的暖かく、また穏やかな日差しを感じる新年となりました。日本の寿ぎのひと時、皆様はお着物にお袖を通されましたでしょうか。

京都本店がある四条河原町の付近ではお着物姿のお方同士でご挨拶を交わされる姿を目にするなど、この時ならではの新年の景色が広がっており、とても嬉しく思っております。

本日1月9日には八坂神社の蛭子船巡行が行われます。「祇園のえべっさん」には商業を営む多くの人々が商売繁昌を祈願してお参りされますが、今日は七福神を乗せた蛭子船が石段下・四条烏丸間を巡行するのです。こうした行事ひとつひとつも街と街を、また人と人とをつなぐ大切なひと時であることを実感致します。

さて、いつも弊社のブログ「きものを愉しむ」をご覧いただきまして誠にありがとうございます。本ブログは私たちが日々仕事を通して感じている様々なことを、読み物としてご覧いただければと思い、HPのリニューアルを行いました2022年3月より更新を続けてまいりました。

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2024/11/30

いつもゑり善のブログ「きものを愉しむ」をご覧いただきまして誠にありがとうございます。
ゑり善主人の亀井彬でございます。

今年は特に暑さが残る秋となっておりましたが、11月に入りようやく過ごしやすい気候となり、今京都は絶好の紅葉シーズンを迎えております。お着物姿のお客様も数多くお見かけするようになり、日本の秋、京都の秋にはやはりお着物姿が欠かせないことを改めて実感している日々でございます。

さて、そんな秋から冬に季節がぐっと変わっていくことを知らせる京都の師走の風物詩がございます。それが「吉例顔見世興行」です。
南座

弊社のブログ「きもの愉しむ」は、着る場所がなかなか見当たらなくて…どんな風に着物のある生活を楽しむことができるのだろう…というお方に向けて、きものを愉しむための情報をお伝えしたいと思い始めました。

今回はまさにそんなテーマにぴったりの年末の京都での歌舞伎興行、顔見世についてお伝えしてまいります。

◆歌舞伎発祥の地に立つ日本最古の劇場…南座

出雲阿国が京都の街で歌舞伎踊りを演じたと記録が残っているのは1603年(慶長8年)のこと。1608年、当時のことを記した記録では、四條河原において女歌舞伎の興行が行われ、評判になったと記されているようです。

そのころから櫓(やぐら)を構えた芝居小屋が並び始め、歌舞伎だけでなく人形遣いの興行が人気を博していき、1620年には京都所司代によって7つの櫓が官許されたとされています。これが今の南座の起源とされており、400年を越える歴史が残されております。

私たちゑり善の創業についても、天正12年、440年とされておりますので、当時のお客様もこうした興行を愉しんでおられたのかもしれない…と想像をするとわくわくしますし、その光景はどのようなものであったのか本当に興味深いものがございます。

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2024/07/31

身も焼かれそうなほど日差しの強い日が続いておりますが、皆様おかわりなくお過ごしでしょうか。
いつもご覧いただき誠にありがとうございます。
本店・営業の久保田でございます。

夏休みシーズンに入りました。公園などを通ると、お子様たちが元気に遊んでおります。
本店では店頭に七五三のお品物が並び始めました。
七五三の時期は11月ですが、お仕立ての期間もありますので9月頃までにお探しになる方が多くいらっしゃいます。
お子様が夏休みの間にお着物探しというのもいかがでしょうか。

お宮参りに始まり、七五三や成人式…日本人が大切にしてきた行事ごと。それぞれ由来があり願いが込められています。歴史までは知らずとも、そういった行事をすることで身の引き締まるような、喜ばしいような気持ちになることはあるのではないでしょうか。
七五三について、揃えるものなどは以前のブログにてご紹介させていただきましたので、今回はそういった「思い」のほうに焦点を当ててみたいと思います。

 

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2024/07/09

いつもゑり善のブログ「きものを愉しむ」をご覧いただき誠にありがとうございます。
ゑり善の主人 亀井彬です。

今年令和6年は、梅雨入りが昨年と比べて23日も遅い6月21日となりました。
梅雨入り後は、湿度の高い蒸し蒸しとした日々が続いております。

京都の市街地は東山、北山、西山という三方を山に囲まれた盆地。そのため、風が弱くなるという地理的な特徴がございます。
このまとわりつくような暑さを体感すると、府外からお越しになられた方が、「京都駅に降りた瞬間の暑さが独特!」とおっしゃる理由がよくわかります。

さて、そんな暑い夏の京都の風物詩といえば、やはり「祇園祭」です。
「葵祭」・「時代祭」とあわせて京都三大祭と呼ばれている大切な祭。
また,大阪の「天神祭」・東京の「神田祭」と並んで日本三大祭の1つに数えられています。

7月1日の「吉符入」にはじまり、31日の「疫神社夏越祭」まで、1か月にわたって各種の神事や行事が行われていきます。
特に16日の宵山、17日の山鉾巡行は全国的に有名で、四条河原町の交差点で山鉾がゆっくりと向きを変える辻回しは多くの方にとって馴染みのある景色なのではないでしょうか。

■祇園祭が始まった訳…
さて、八坂神社の公式サイトを見ますと、

「古くは、祇園御霊会(ごりょうえ)と呼ばれ、貞観11年(869)に京の都をはじめ日本各地に疫病が流行したとき、勅を奉じて当時の国の数66ヶ国にちなんで66本の矛を立て、祇園社より神泉苑に神輿を送って、災厄の除去を祈ったことにはじまります。」
と書かれております。

長い歴史の中で幾度となく疫病の蔓延を経験してきた日本人。京都の地理的背景によって、暑さと湿気がもたらす疫病に対して、その原因を悪霊や鬼の仕業をみなし、祭礼によって追い出してしまおうという疫病対策が、長い歴史を経て、毎年の恒例行事となったものといえます。

記憶に新しい新型コロナウイルスの蔓延があった時にも、2020年・2021年の2年間が開催できなかった山鉾巡行について、2022年は全国的にも早い段階で実施が決定され、そのニュースが京都の街を明るくしたことを鮮明に記憶しております。

こうした歴史的背景に触れてみると、疫病に怯え守りを固めるだけでなく、祭礼という形で、多くの方の気持ちを結集させて、悪霊や鬼を追い出す!という攻めの気持ちが祇園祭を支えているように感じます。

■祇園祭の愉しみ方
そんな祇園祭の愉しみ方を今回はご紹介いたします。
京都の夏は暑くて… 人が多くて…
というお気持ちもとってもよくわかりますが、やはり実際に見て味わうことで生まれる感動はひとしお。
京都の街に繰り出して、夏を存分に愉しむ(できればお着物で…)きっかけになりましたら幸いです。

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2024/05/11

いつもゑり善のブログ、「きものを愉しむ」をご覧いただきまして誠にありがとうございます。
ゑり善の亀井彬でございます。

ゴールデンウィークも過ぎ、初夏のさわやかな風が心地よい季節。
少しずつ進む季節の移ろいを感じております。

さて、今回のブログは前回に引き続き、竺仙さんの浴衣の特徴についてご紹介をいたします。
「夏に映える浴衣 ~涼やかを生む 竺仙さんの”こだわり”に迫る~」の第二弾をお届けします。

■毎年人気のこだわり浴衣…

竺仙さんの浴衣の特徴の一つが個性の際立つラインナップです。
前回ご紹介した王道の注染による綿コーマ、綿絽は浴衣らしく気軽にお召しいただけます。
→綿絽・綿コーマのご紹介

一方でもう少しドレスアップして、でも絹の着物まではいかないものを…
というお方におすすめなのが、今回ご紹介する「綿紅梅」や「奥州小紋」です。
まずはそれぞれの特徴をご紹介します。

■ 綿紅梅とは
“紅梅”という趣のある名前が印象に残る浴衣の生地。
太細のある綿の糸を織り分けて作られる細かな格子状の生地が特徴です。

格子状の太く見える部分には40番手の太い糸を、
薄く透き通って見える部分には80番手というより細い糸が使われています。
驚くことにこの生地が生まれたのは、昭和の初めとのことで、その時代のセンスの良さを感じます。

この織り方によって生まれる紅梅の生地は綿絽と比べてもすけ感があり、見た目にも涼やかです。
生地の凹凸のおかげで、肌触りもよく、着心地も抜群。
蝉の羽を思わせるような風合いは、夏の時期にぴったりです。

■ 奥州小紋とは
昭和30年代に”奥州小紋”と竺仙さんが名付けた浴衣。

生地には紬糸が使用され、独特の縦縞が特徴的です。
透け感は綿紅梅に比べると少ないため、柄のメリハリがしっかりとつきます。
生地そのものの色が真っ白ではなく、少し茶色がかっており、
お召しになった時にさりげなく目にとまる縦縞に江戸の”粋”を感じます。

紬糸を使用しておりますが、あつぼったい印象はなく、しゃきっとしたハリ感が着姿をより美しくします。

この2種類のタイプの異なる生地には、実は同じ技法での染めがなされています。
それが本日ご紹介する型置きと引き染の技法になります。

この度、竺仙さんのこだわりに迫るために訪れたのは東京の【千和多染工さん】でした。

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2024/04/05

いつもゑり善のブログ、「きものを愉しむ」をご覧いただきまして誠にありがとうございます。
ゑり善の亀井彬でございます。

心地よい春の日差しに美しい桜が舞う季節となりました。
入学式を迎える親御様の少し緊張した表情と共に、凛とした着物姿が街を彩っております。

さて、今回はこれからシーズンを迎える浴衣の特徴についてご紹介をいたします。
題して、「夏に映える浴衣 ~涼やかを生む 竺仙さんの”こだわり”に迫る~」です。

どうか、きものの愉しみを再認識するきっかけになりましたら幸いです。

■日本の衣服における大切な条件

着物という言葉は、「着る物」という意。
言葉の由来を考えると、日本の伝統的な民族衣装全体を表していることとなります。

そして、日本の衣装が、今日までどの様な変遷を遂げたかを知るには、日本の地理的条件を考えることが大切です。
私たちの祖先は、寒いとは言え、凍え死ぬほどの寒さでもない冬よりも、むしろ湿度の高く蒸し暑い夏をいかに快適に過ごすかという事に、いろいろな工夫を凝らしてきたようです。

壁の少ない風通しの良い部屋に住み、脇に開きのある大きな袖のついた衣服を前で軽く合わせて、帯を締めることによって少しでも夏を過ごしやすく考えたのでしょう。
一方で冬になると、取り外しの簡単な襖や障子で風を防ぎ、衣服を何枚も重ねることで寒さを防ぐ工夫をしてきたといえます。

その意味においては、当時と気温が異なっているとはいえ、暑い夏をいかにすずしく乗り切るか。という考えは、着物の誕生以来大切なテーマであったといえるのです。

■ 竺仙さんのこだわり
さて、弊社では毎年、東京日本橋の竺仙さんの浴衣を取り扱っております。

江戸・明治から伝わる型紙と職人さんの”鋭敏”な勘から生み出される美しい反物。
「竺仙鑑製」と染め抜かれた証紙にある「鑑」の一字には、手本になる、かがみ、また目利きなどの厳しい意味が込められています。

竺仙さんは江戸後期、1842年の創業。
江戸染浴衣の独特な技術を活かして、浴衣から江戸小紋へと世間に名を馳せ、歌舞伎の世界にまでその生きざまが描かれたほど。
いつの時代もものづくりにこだわり、新しい挑戦を続けておられる姿に染色の更なる成長と明るい未来を感じております。

そんな中でも今回は、竺仙さんといえば“コーマ!”
といえるほど、人気の定番商品であるコーマの浴衣のご紹介をいたします。

特に、「暑い夏をいかに涼しく乗り切るか」という大切なキーワードに対する価値として

①大胆かつ上品さを残す柄行き
②紺と白のコントラスト
③汗をかいたときにこそ涼しさを感じる生地

このの3つの点に注目をしてご紹介いたします。 (さらに…)

2023/08/30

いつも弊社のブログ「着物を愉しむ」をご覧いただきまして誠にありがとうございます。
京ごふくゑり善の亀井彬でございます。

全国各地で猛暑が続く夏となりましたが、
朝晩にはようやく涼しい風が吹き、季節の移ろいを感じるようになりました。

エアコンの効いた室内におりますとこのようなわずかな変化にはなかなか気付けないのですが、
ふと外に出て、山野の草花や風を感じる環境に身を置きますと、季節が変わりゆく様が感じられますね。

「山から季節は降りてくる」と聞いたことがございますが、
日本の豊かな自然が感性をくすぐり、心を癒してきたことを感じる夏となりました。

さて、夏が過ぎると秋。
なにげなく見ている「秋」という漢字ですが、
穀物を表す「のぎへん」と
収穫後の穀物を乾燥させるための天日干しにちなんだ「火」から成り立っております。

また、全く存じ上げなかったのですが、「秋」と書いて「とき」とも呼ぶようです。
「事に当たって特に重要なとき」という意味があるとか。

今も昔も変わりませんが、こうした感じの成り立ちを知ると
日本人にとっていかに「実りをいただく秋」が大切な時期であったのかを感じることができます。

さて、着物を愉しむ皆様にとっても、秋は待ち遠しい季節の一つ。
暑さも和らぎ、お集まりの機会も多くなる秋は、まさに着物でお出かけしやすい絶好の時期といえます。


<秋の着こなし~移り変わる秋を組み合わせで愉しむ~>
秋といってもまだ「夏の暑さが残る秋」から「冬の寒さも感じる秋」まで幅広くございます。
その広さが秋の醍醐味でもあるのですが、そうした季節の広さに対応できるのが着物の魅力の一つです。
今回はそんな秋の季節の組み合わせについて、昨年の気温も振り返りながら、ひとつずつご紹介をさせていただきます。

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2023/07/31

いつもゑり善のWEBサイトをご覧いただきまして誠にありがとうございます。
ゑり善の亀井彬でございます。

7月も今日が最終日となりました。
京都で1か月にわたりおこなわれてきた祇園祭も
本日行われる「夏越祭」をもって締めくくりとなります。

八坂神社の祭神である素戔嗚尊(すさのおのみこと)が
疫神社の祭神である蘇民将来(そみんしょうらい)にもてなしを受けた返礼として、
子孫の無病息災を約束した故事にちなんだ行事とのこと。

長い期間行われてきた祇園祭の様々な祭事が無事に開催ができたことを感謝する
行事で締めくくられるというのはとても素敵なことであるように感じます。


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2023/06/16

暦の上でも梅雨入りを迎えました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
いつもご覧いただき誠にありがとうございます。
本店・営業の久保田でございます。

梅雨が明けると夏がきて、本格的に浴衣の季節が訪れます。
ということで夏の準備としての浴衣連載も今回で最終回です。

浴衣の種類着心地の良さとご紹介してきましたがまだお伝えできていないのが色うつりの良さ。
色うつり、と一言にいっても染料や染め方はもちろん、生地や柄の出方など様々な部分が関係して見た目の良さは生まれています。
また、帯合わせも例外ではありません。

今回はそんな色の良さを叶える秘密を、コーディネートをご紹介しながら探っていこうと思います。

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2023/05/13

GWが明けました。連休を過ごされた方はゆっくりできましたか?
いつもご覧いただき誠にありがとうございます。
本店・営業の久保田でございます。

さて、前回は浴衣入門編として浴衣の種類をご紹介いたしました。
つづいては「浴衣」自体を深掘りして、おすすめポイントをご紹介していきたいと思います。
少しでも浴衣をご検討されている方の助けになれば幸いです。

 

ゑり善で扱う浴衣について、魅力はたくさんありますが、
特にお伝えしたいのは着心地の良さと色の良さ。
仕入れ先の竺仙さんは長年浴衣の生産に携わっておられ、浴衣に特化した生地作りもされています。
薄すぎず厚すぎない安心感のある生地質は竺仙さんならでは。
また、昔ながらの白紺の浴衣は、コントラストがはっきりしており色鮮やかで、
江戸好みの粋な着こなしを叶えます。

今回は着心地に焦点をあて、肌触りの良さの秘密を探ります。

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京都・銀座・名古屋にて呉服の専門店として商いをする「京ごふくゑり善」の代表取締役社長として働く「亀井彬」です。
日本が世界に誇るべき文化である着物の奥深い世界を少しでも多くの方にお伝えできればと思い、日々の仕事を通して感じることを綴っていきます。