いつもゑり善のブログ、「きものを愉しむ」をご覧いただきまして誠にありがとうございます。
ゑり善の亀井彬でございます。
ゴールデンウィークも過ぎ、初夏のさわやかな風が心地よい季節。
少しずつ進む季節の移ろいを感じております。
さて、今回のブログは前回に引き続き、竺仙さんの浴衣の特徴についてご紹介をいたします。
「夏に映える浴衣 ~涼やかを生む 竺仙さんの”こだわり”に迫る~」の第二弾をお届けします。
■毎年人気のこだわり浴衣…
竺仙さんの浴衣の特徴の一つが個性の際立つラインナップです。
前回ご紹介した王道の注染による綿コーマ、綿絽は浴衣らしく気軽にお召しいただけます。
(→綿絽・綿コーマのご紹介)
一方でもう少しドレスアップして、でも絹の着物まではいかないものを…
というお方におすすめなのが、今回ご紹介する「綿紅梅」や「奥州小紋」です。
まずはそれぞれの特徴をご紹介します。
■ 綿紅梅とは
“紅梅”という趣のある名前が印象に残る浴衣の生地。
太細のある綿の糸を織り分けて作られる細かな格子状の生地が特徴です。
格子状の太く見える部分には40番手の太い糸を、
薄く透き通って見える部分には80番手というより細い糸が使われています。
驚くことにこの生地が生まれたのは、昭和の初めとのことで、その時代のセンスの良さを感じます。
この織り方によって生まれる紅梅の生地は綿絽と比べてもすけ感があり、見た目にも涼やかです。
生地の凹凸のおかげで、肌触りもよく、着心地も抜群。
蝉の羽を思わせるような風合いは、夏の時期にぴったりです。
■ 奥州小紋とは
昭和30年代に”奥州小紋”と竺仙さんが名付けた浴衣。
生地には紬糸が使用され、独特の縦縞が特徴的です。
透け感は綿紅梅に比べると少ないため、柄のメリハリがしっかりとつきます。
生地そのものの色が真っ白ではなく、少し茶色がかっており、
お召しになった時にさりげなく目にとまる縦縞に江戸の”粋”を感じます。
紬糸を使用しておりますが、あつぼったい印象はなく、しゃきっとしたハリ感が着姿をより美しくします。
この2種類のタイプの異なる生地には、実は同じ技法での染めがなされています。
それが本日ご紹介する型置きと引き染の技法になります。
この度、竺仙さんのこだわりに迫るために訪れたのは東京の【千和多染工さん】でした。