--浴衣の知識

2024/05/11

いつもゑり善のブログ、「きものを愉しむ」をご覧いただきまして誠にありがとうございます。
ゑり善の亀井彬でございます。

ゴールデンウィークも過ぎ、初夏のさわやかな風が心地よい季節。
少しずつ進む季節の移ろいを感じております。

さて、今回のブログは前回に引き続き、竺仙さんの浴衣の特徴についてご紹介をいたします。
「夏に映える浴衣 ~涼やかを生む 竺仙さんの”こだわり”に迫る~」の第二弾をお届けします。

■毎年人気のこだわり浴衣…

竺仙さんの浴衣の特徴の一つが個性の際立つラインナップです。
前回ご紹介した王道の注染による綿コーマ、綿絽は浴衣らしく気軽にお召しいただけます。
→綿絽・綿コーマのご紹介

一方でもう少しドレスアップして、でも絹の着物まではいかないものを…
というお方におすすめなのが、今回ご紹介する「綿紅梅」や「奥州小紋」です。
まずはそれぞれの特徴をご紹介します。

■ 綿紅梅とは
“紅梅”という趣のある名前が印象に残る浴衣の生地。
太細のある綿の糸を織り分けて作られる細かな格子状の生地が特徴です。

格子状の太く見える部分には40番手の太い糸を、
薄く透き通って見える部分には80番手というより細い糸が使われています。
驚くことにこの生地が生まれたのは、昭和の初めとのことで、その時代のセンスの良さを感じます。

この織り方によって生まれる紅梅の生地は綿絽と比べてもすけ感があり、見た目にも涼やかです。
生地の凹凸のおかげで、肌触りもよく、着心地も抜群。
蝉の羽を思わせるような風合いは、夏の時期にぴったりです。

■ 奥州小紋とは
昭和30年代に”奥州小紋”と竺仙さんが名付けた浴衣。

生地には紬糸が使用され、独特の縦縞が特徴的です。
透け感は綿紅梅に比べると少ないため、柄のメリハリがしっかりとつきます。
生地そのものの色が真っ白ではなく、少し茶色がかっており、
お召しになった時にさりげなく目にとまる縦縞に江戸の”粋”を感じます。

紬糸を使用しておりますが、あつぼったい印象はなく、しゃきっとしたハリ感が着姿をより美しくします。

この2種類のタイプの異なる生地には、実は同じ技法での染めがなされています。
それが本日ご紹介する型置きと引き染の技法になります。

この度、竺仙さんのこだわりに迫るために訪れたのは東京の【千和多染工さん】でした。

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2024/04/05

いつもゑり善のブログ、「きものを愉しむ」をご覧いただきまして誠にありがとうございます。
ゑり善の亀井彬でございます。

心地よい春の日差しに美しい桜が舞う季節となりました。
入学式を迎える親御様の少し緊張した表情と共に、凛とした着物姿が街を彩っております。

さて、今回はこれからシーズンを迎える浴衣の特徴についてご紹介をいたします。
題して、「夏に映える浴衣 ~涼やかを生む 竺仙さんの”こだわり”に迫る~」です。

どうか、きものの愉しみを再認識するきっかけになりましたら幸いです。

■日本の衣服における大切な条件

着物という言葉は、「着る物」という意。
言葉の由来を考えると、日本の伝統的な民族衣装全体を表していることとなります。

そして、日本の衣装が、今日までどの様な変遷を遂げたかを知るには、日本の地理的条件を考えることが大切です。
私たちの祖先は、寒いとは言え、凍え死ぬほどの寒さでもない冬よりも、むしろ湿度の高く蒸し暑い夏をいかに快適に過ごすかという事に、いろいろな工夫を凝らしてきたようです。

壁の少ない風通しの良い部屋に住み、脇に開きのある大きな袖のついた衣服を前で軽く合わせて、帯を締めることによって少しでも夏を過ごしやすく考えたのでしょう。
一方で冬になると、取り外しの簡単な襖や障子で風を防ぎ、衣服を何枚も重ねることで寒さを防ぐ工夫をしてきたといえます。

その意味においては、当時と気温が異なっているとはいえ、暑い夏をいかにすずしく乗り切るか。という考えは、着物の誕生以来大切なテーマであったといえるのです。

■ 竺仙さんのこだわり
さて、弊社では毎年、東京日本橋の竺仙さんの浴衣を取り扱っております。

江戸・明治から伝わる型紙と職人さんの”鋭敏”な勘から生み出される美しい反物。
「竺仙鑑製」と染め抜かれた証紙にある「鑑」の一字には、手本になる、かがみ、また目利きなどの厳しい意味が込められています。

竺仙さんは江戸後期、1842年の創業。
江戸染浴衣の独特な技術を活かして、浴衣から江戸小紋へと世間に名を馳せ、歌舞伎の世界にまでその生きざまが描かれたほど。
いつの時代もものづくりにこだわり、新しい挑戦を続けておられる姿に染色の更なる成長と明るい未来を感じております。

そんな中でも今回は、竺仙さんといえば“コーマ!”
といえるほど、人気の定番商品であるコーマの浴衣のご紹介をいたします。

特に、「暑い夏をいかに涼しく乗り切るか」という大切なキーワードに対する価値として

①大胆かつ上品さを残す柄行き
②紺と白のコントラスト
③汗をかいたときにこそ涼しさを感じる生地

このの3つの点に注目をしてご紹介いたします。 (さらに…)

2023/07/31

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ゑり善の亀井彬でございます。

7月も今日が最終日となりました。
京都で1か月にわたりおこなわれてきた祇園祭も
本日行われる「夏越祭」をもって締めくくりとなります。

八坂神社の祭神である素戔嗚尊(すさのおのみこと)が
疫神社の祭神である蘇民将来(そみんしょうらい)にもてなしを受けた返礼として、
子孫の無病息災を約束した故事にちなんだ行事とのこと。

長い期間行われてきた祇園祭の様々な祭事が無事に開催ができたことを感謝する
行事で締めくくられるというのはとても素敵なことであるように感じます。


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2023/06/16

暦の上でも梅雨入りを迎えました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
いつもご覧いただき誠にありがとうございます。
本店・営業の久保田でございます。

梅雨が明けると夏がきて、本格的に浴衣の季節が訪れます。
ということで夏の準備としての浴衣連載も今回で最終回です。

浴衣の種類着心地の良さとご紹介してきましたがまだお伝えできていないのが色うつりの良さ。
色うつり、と一言にいっても染料や染め方はもちろん、生地や柄の出方など様々な部分が関係して見た目の良さは生まれています。
また、帯合わせも例外ではありません。

今回はそんな色の良さを叶える秘密を、コーディネートをご紹介しながら探っていこうと思います。

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2023/05/13

GWが明けました。連休を過ごされた方はゆっくりできましたか?
いつもご覧いただき誠にありがとうございます。
本店・営業の久保田でございます。

さて、前回は浴衣入門編として浴衣の種類をご紹介いたしました。
つづいては「浴衣」自体を深掘りして、おすすめポイントをご紹介していきたいと思います。
少しでも浴衣をご検討されている方の助けになれば幸いです。

 

ゑり善で扱う浴衣について、魅力はたくさんありますが、
特にお伝えしたいのは着心地の良さと色の良さ。
仕入れ先の竺仙さんは長年浴衣の生産に携わっておられ、浴衣に特化した生地作りもされています。
薄すぎず厚すぎない安心感のある生地質は竺仙さんならでは。
また、昔ながらの白紺の浴衣は、コントラストがはっきりしており色鮮やかで、
江戸好みの粋な着こなしを叶えます。

今回は着心地に焦点をあて、肌触りの良さの秘密を探ります。

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2023/04/11

人通りも増え賑わいをみせる四条河原町です。皆様いかがお過ごしでしょうか。

いつもご覧いただき誠にありがとうございます。
本店・営業の久保田でございます。

今年は早くも浴衣をお探しになられている方が多いように思います。
お待たせいたしました。浴衣が店頭に並びました。

浴衣はお着物よりも必要な小物が少ないので着付けもしやすく、ものによってはご自身でお洗濯できるのでお手入れもしやすいです。
お着物に興味はあるけれどハードルの高さを感じていらっしゃる方、まずは浴衣をお仕立てされてみてはいかがでしょうか。

浴衣、と一口に言っても種類も色柄も様々ございます。
今回は入門編、として初心者さんへ向けて浴衣の種類を一通りさらっとご紹介させていただきます。
新年度で皆様せわしなくされている時期かと存じますが、息抜き程度にお目通しくださると幸いです。

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2022/08/30

暑さの中にも、夏から秋への移ろいを感じられるようになってまいりました。
京都本店 店頭の廣政でございます。

前回のブログ「自宅でできる 浴衣のお手入れ その1」では
ご自身で浴衣をお洗濯される前に確認していただきたいことをお伝えしてまいりました。
大変お待たせいたしました、ここからはお洗濯の実践編でございます。

その1をまだ読んでいないという方はぜひ一度お目通しいただき、
さっそく浴衣のお洗濯を始めてまいりましょう!

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2022/08/17

全国的に厳しい暑さが続いておりますが、少しずつ秋の気配も感じられるようになってまいりました。
皆様いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

京都本店 店頭の廣政と申します。
今回は「自宅でできる 浴衣のお洗濯」と題しまして、ブログを書く機会をいただきました。
つたない文章ではございますが、どうぞよろしくお願いいたします。

今年は祇園祭 山鉾巡行と五山送り火の全面点火が3年ぶりに開催され、
京都の街には浴衣をお召しになった方たちが本当にたくさんいらっしゃいました。
他の地域でもひさしぶりにお祭りや夏の行事などで
浴衣をお召しになる機会が多かったのではないかと思います。
7月8月と浴衣をお召しになり、さてそろそろクリーニングに出そうと思っておられる方へ
「実は浴衣はご自宅でお洗濯ができます!」ということをお伝えしたく、このブログを書いている次第でございます。

とはいえ、私は洗濯に関しては完全な素人。
そこでゑり善でもお世話になっている悉皆屋さんに、プロの視点での浴衣のお洗濯についていろいろとお伺いしました。

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京都・銀座・名古屋にて呉服の専門店として商いをする「京ごふくゑり善」の代表取締役社長として働く「亀井彬」です。
日本が世界に誇るべき文化である着物の奥深い世界を少しでも多くの方にお伝えできればと思い、日々の仕事を通して感じることを綴っていきます。